東海道・山陽三十五次

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広島スカイレールサービスの設備・車両まとめ

つい先日、4月30日12:00で運行を終えたスカイレールサービス。その地上設備や車両についてのまとめです。

訪問日 2024年3月7日 木曜日

車両

スカイレール205号車両 斜め下から見上げる202号車 真下から見上げる207号車(正面) 207号車の後面
車体は小さなゴンドラ型で、基本的に常に水平を保ちます。しかし加減速の勢いが強いため、駅発着時にはその勢いで斜めになる場面もあります。

外観はほとんどロープウェイのようですが、特筆すべきは走行用桁が設けられている点で、構造上はモノレールの一種として分類されます。
そのため、次項で説明する台車周りの仕組みがロープウェイとは大きく異なっています。

車内の標記
形式名は「200形」で、自重は2.5t、定員は25人。201~206が開業時に投入された車両、207が2019年増備の後期車両です。

台車周り

スカイレールの台車の仕組みの色分け解説画像 色分け前の画像
台車の色分け解説画像(放索ガイド通過中) 色分け前の画像(放索ガイド通過中)
台車の色分け解説画像(内側) 色分け前の画像(内側)
スカイレールの台車周りのパーツを色分けしてみました。このような構造になっています。

タイヤは一番大きな走行輪が車両の重量を支える主要な役割で、案内輪はカーブをスムーズに曲がるのに、安定輪は揺れを抑えて安定した走行を実現するために、それぞれ役に立つ補助的なタイヤです。
レールはアルファベットのI字型をしており、走行輪・案内輪・安定輪でそのレールを挟み込むようにして走行します。

その他、放索ガイド・握索ガイドを通過する時にのみ使用すると思われるタイヤが台車最上部に4つ付いています。名称不明。
また、折り返し線のレールを走るためのタイヤが外側に2つ・内側に1つ、計3つ付いています。こちらも名称不明。

台車上部には握索機があり、この機械がロープを掴むことで駅間走行のための動力を得ています。上記の色分け解説画像では1枚目がロープを掴んだ状態・2枚目が放した状態になっていますので、見比べてみてください。


集電装置(パンタグラフ)は、内側に2個、外側に5個付いています。通常使うのは内側の2個で、ほとんど常に2本の電車線に接して電気を受け取っています。

一方、外側の5個のパンタグラフについては使い道が不明となっています。駅ホームドア上に5本の電車線が確認できており、停車中に使用していることは推測できますが、どのような目的で使用しているのかが全く分かっていません。どなたかご存知の方いらっしゃいましたらコメントにてご連絡をお願いします。


都営大江戸線などのリニア地下鉄ではリアクションプレート(二次LIM)が地上・線路側に設けられています(車上一次方式)が、スカイレールの場合は地上一次方式を採用しているようで、車両側についているものがリアクションプレート(二次LIM)であり、軌道側が一次LIMであると説明されています。

懸垂ピンは台車と車両とを繋ぐ部品です。

走行の仕組み

前述の通り、基本的にはI字型のレールからぶら下がって走行します。
駅間はロープ動力によって、駅部ではリニアモーターによって、また終端部の折り返し線ではベルトコンベアのような装置によって動きます。

ロープ動力

スカイレールの台車とロープ
少し見にくいですが、レールの上にロープが張られていることがわかります。
ロープは列車運行中は常に一定の速度で動いており、前述の握索機でロープを掴むことで駅間の動力を得ています。この点は自動循環式ロープウェイと同様です。

日中は15分間隔での運行となり、列車が動いていない時間が存在します。その間はロープの稼働も停止します。

握索ガイド・放索ガイド

スカイレールの握索ガイド 握索ガイド
スカイレールの放索ガイド 放索ガイド
こちらは(おそらく)握索ガイド放索ガイドと思しき設備。1・2枚目が握索用のもので、駅を出たところに設置されており、3・4枚目は駅手前に設置されている放索用のものです。
このガイド区間を通過している間に、ロープを握ったり、あるいは放したりします。

放索ガイドと台車
握索ガイド・放索ガイドには合計4本のレールが付いていることが確認できます。
前述の台車最上部に付いている4つの車輪は、放索ガイド通過時このレールに接触しています。どのような目的でそうしているのかはわかりませんが、ロープを掴んだり離したりする際に台車のぐらつきを抑え、横方向の位置合わせをしているのではないかと予想しています。

リニアモーター

リニアモーター拡大 車内から見たリニアモーター みどり中央駅外から見上げるリニアモーター みどり中街駅から見上げるリニアモーター
こちらはリニアモーター(一次)で、駅前後の区間の軌道底面に連続して設置されています。先ほどの握索・放索ガイドの写真にも写り込んでいますね。

駅発着の際には握索機がロープを離し、このリニアモーターを使用して加減速を行います。

折り返し線

折り返し線と分岐器 みどり中央駅の折り返し線全景 折り返し線を走行する200形 みどり口駅の折り返し線
そしてこちらは折り返し線
駅間走行(ロープ動力)・駅発着時(リニアモーター)の仕組みについては公式パンフレットや各種文献などで図解されているのですが、折り返し線走行の仕組みに関しては説明されているものが見当たらず、謎が多い箇所となっています。

薄灰色の2本のレールが存在し、前述の色分け図で紫色に塗った外側2つ・内側1つの計3つの車輪がこのレールに接触していることが確認できたため、おそらくこれらの車輪を使って走行するものと思われます。最近話題の「Zippar」がカーブを通過する仕組みと似ています。

写真では分かりにくいですが、レール上部には黒いベルトコンベアのようなブヒが存在し、このベルトコンベア状の部品が回ることによってU字の折り返し線を走行します。

また、折り返し線内にも電車線の存在が確認できるため、折り返し線走行中も車両への電力は供給され続けているものと思われます。一方で、整備用の引き上げ線(写真2枚目で203号車が停車している箇所)には電車線はありません。

分岐器はレールの回転とスライドを組み合わせて動作するようです。(Twitter上に動画がありました)

軌道・支柱

軌道拡大

車内から撮影した軌道桁
車内から撮影した軌道桁です。よく見ると、桁同士の接合部分がS字状になっています。

坂を上る軌道の全景 軌道とみどり口駅 軌道と点検路の拡大画像
軌道桁の上には点検路があり、また通信用か何かと思われるケーブルとそれを支える電柱が設けられています。

登り勾配区間の滑車 カーブの滑車
勾配やカーブの角度が変わる箇所には滑車が設けられています。この点はケーブルカーのそれを連想させます。

沿線風景

みどり口(瀬野)~みどり中街間

みどり口駅舎の側面 みどり口駅舎の正面
みどり口駅舎。

駅舎と放索ガイド 駅舎と放索ガイド
駅を出てすぐの区間。放索ガイドが確認できます。

スカイレールの軌道と支柱
交通広場を抜けてから、早くも急勾配に入ります。

上から見下ろした軌道 急勾配区間の軌道 上から見下ろした軌道とみどり中央駅 急勾配区間の軌道
沿道の長い階段の中腹付近、スーパーや歯科医院がある層から撮影した画像です。みどり口駅舎と、そこから続く急勾配の様子が分かります。

住宅街の道路上を走る軌道
その先から住宅街の中心に入ります。

階段と軌道
下は部分的に階段になっています。また、一番手前の柱のみ下部が太くなっています。

住宅街と直線軌道 階段と直線軌道 住宅街と直線軌道
その後もぐんぐん坂を上ります。

住宅街とカーブ軌道
カーブしながらみどり中街駅を目指します。

歩道と軌道 歩道と軌道とみどり中街駅 みどり中街駅
中街駅が見えてきました。軌道直下は車道から歩道に変わりました。

みどり中街~みどり中央間

直線区間の軌道 直線区間の軌道
みどり中街駅を出てからは、しばらく西側に向かって直線区間が続きます。

北へカーブする軌道
その後は坂を上りながら北へカーブ。

みどり坂中央公園上空を通る軌道
カーブしながらみどり坂中央公園上空を通過します。

階段とみどり中央駅 みどり中央駅
公園の長い階段を抜けると、ようやくみどり中央駅が見えてきました。

これにてみどり中央駅に到着。当分の間階段は懲り懲りです。

駅舎・駅構内の設備については別に記事を建てます。

参考

ロープ駆動式懸垂型交通システム“スカイレール”の開発 三菱重工技報 Vol.34 No.6 (国立国会図書館デジタルコレクション)