今回は「L0系」各車の形式名・編成表・形式写真など車両の仕様に関する情報と、設備の情報を記事にまとめていきたいと思います。
乗車・感想編はこちら
訪問日 | 2023年10月25日 水曜日 |
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車両 (L0系)
概要 (形式・編成表)
概要
L0系の形式は今のところ4種類あります。
形式名 | 製造両数 (900番台) |
製造両数 (950番台) |
概要 | 定員(窓数から推定) |
---|---|---|---|---|
L21形 | 2両 | 0両 | 名古屋・新大阪方先頭車 窓北4か所・南5か所 |
18人 |
L22形 | 2両 | 1両 | 品川方先頭車 900番台・950番台ともに窓6か所 |
24人 |
L25形 | 8両 | 1両 | 中間電動車(通常) 900番台は窓17か所、950番台は15か所 |
68人(900番台) 60人(950番台) |
L26形 | 2両 | 0両 | 中間電動車(車いす対応) 窓15か所 |
60人 |
2020年までの編成は全て900番台で統一されていました。
2020年に950番台(改良型試験車)のL22形・L25形が1両ずつ増備されており、それぞれL22-951・L25-951を名乗ります。
L21形・L22形はそれぞれ2両ずつ製造されており、番号は901・902と思われます。
L25形
L25形は後述の通り8両が製造されていると思われ、順当に行けば車両番号は901~908になると考えられます。L26形は同様に2両製造、901・902と考えられます。
2023年体験乗車の際、連結されていたL25形900番台の車番はL25-906でした。
そして、L25-904は愛知県小牧市の走行試験施設で機械に組み込まれ、実験に使用されていることが分かっています。
(参考:「東海道新幹線と同じ乗り心地に」 JR東海、リニア技術向上へ時速500キロ仮想試験)
現時点で行方が分かっているL25形900番台はこの2両だけで、他の車両(901~903・905・907~908)が今どこで何に使われているのかは分かりません。
編成表 (12両組成時)
12両編成を組んだ状態での動画を確認すると、当時は下記のように組成されていことが分かります。
1号車 | 2号車 | 3号車 | 4号車 | 5号車 | 6号車 | 7号車 | 8号車 | 9号車 | 10号車 | 11号車 | 12号車 |
L21形900番台 | L26形900番台 | L25形900番台 | L25形900番台 | L25形900番台 | L25形900番台 | L26形900番台 | L25形900番台 | L25形900番台 | L25形900番台 | L25形900番台 | L22形900番台 |
Wikipediaには、中間車は10両製造と書かれています(残念なことに出典無し)。仮にこの記述が正しければ、この時組成されていたL25形8両・L26形2両以外に中間車は存在しないことになります。
編成表 (2020年報道公開時)
2020年増備の950番台2両はともに品川方に連結されており、この代わりにL22形・L25形900番台が1両ずつ役目を終えているものと思われます。
950番台の報道公開の際は、L25形900番台を3両を従えた7両編成を組成していました。また、950番台を組み込んだのは「B編成」で、他にA編成(5両編成)がいることが報道陣向けに公表されています。
車番が写っている動画・写真がないか探しましたが、見当たりませんでした・・・。ご存知の方いらっしゃいましたらぜひコメントをお願いします。
1号車 | 2号車 | 3号車 | 4号車 | 5号車 | 6号車 | 7号車 |
L21形900番台 | L26形900番台 | L25形900番台 | L25形900番台 | L25形900番台 | L25-951 | L22-951 |
編成表 (2023年10月25日時点・車番付き)
2023年10月の体験乗車の際は、下記のような5両編成の組成をしていました。
1号車 | 2号車 | 3号車 | 4号車 | 5号車 |
L21-902 | L26-901 | L25-906 | L25-951 | L22-951 |
加速度
リニアの加速度を記録し、グラフにしてみました。
500km/hに達するまで、殆ど常に一定の加速度(およそ3.2~3.4km/h/s)を保ち続けていました。
また、JR東海公式サイト内にて加減速性能について記したグラフ付きの資料が公開されています。
▼記録していた情報を表にしておきます
時間 | キロ程 | 速度 |
---|---|---|
0:00:00 | 2.40 km | 0 km/h |
0:00:01 | 2.40 km | 5 km/h |
0:00:03 | 2.41 km | 10 km/h |
0:00:07 | 2.42 km | 20 km/h |
0:00:10 | 2.45 km | 30 km/h |
0:00:13 | 2.48 km | 40 km/h |
0:00:16 | 2.51 km | 50 km/h |
0:00:19 | 2.56 km | 60 km/h |
0:00:24 | 2.66 km | 80 km/h |
0:00:30 | 2.81 km | 100 km/h |
0:00:36 | 2.98 km | 120 km/h |
0:00:41 | 3.19 km | 140 km/h |
0:00:47 | 3.43 km | 160 km/h |
0:00:54 | 3.76 km | 180 km/h |
0:01:01 | 4.02 km | 200 km/h |
0:01:08 | 4.50 km | 220 km/h |
0:01:14 | 4.92 km | 240 km/h |
0:01:20 | 5.35 km | 260 km/h |
0:01:27 | 5.84 km | 280 km/h |
0:01:33 | 6.36 km | 300 km/h |
0:01:39 | 6.88 km | 320 km/h |
0:01:44 | 7.36 km | 340 km/h |
0:01:50 | 7.88 km | 360 km/h |
0:01:55 | 8.44 km | 380 km/h |
0:02:01 | 9.02 km | 400 km/h |
0:02:07 | 9.76 km | 420 km/h |
0:02:14 | 10.64 km | 440 km/h |
0:02:22 | 11.56 km | 460 km/h |
0:02:26 | 12.08 km | 470 km/h |
0:02:30 | 12.58 km | 480 km/h |
0:02:33 | 13.02 km | 490 km/h |
0:02:37 | 13.54 km | 500 km/h |
外観 (形式写真・細部写真)
L21-902
名古屋方先頭車。こちら側は900番台です。
前面窓・カメラ位置がノーズ先端部にあり、視点が低くなっています。車端部に「L0」のロゴ付き。
L26-901
L0系唯一の車いす対応形式。そのためL25形よりドア幅が広くなっています。
ドア自体の位置もL25形と異なり、東京方にズレた位置に配置されています。
L25-906
L0系中間車は基本的にこのL25形がメイン。窓数は17枚で、L0系グループ中最も定員数の多い車両です。
L25-951
L25形の改良型試験車(950番台)。900番台と比べてシートピッチが広がった反面、窓数が17→15に減少しています。
このため、定員数がおそらく8人分少なくなっているものと思われます。16両編成中にL25形が12両連結されるものと仮定すると*1、編成全体で96人分の減少です。
外観上は他にも、大型ルーバー部の帯塗装が省略されている、屋根上の排気口の数が増えている、名古屋方に小さなドアのような蓋が追加されているなどの違いがあります。
また、一番東京方の窓だけ他の窓よりも広い間隔をあけて配置されています。
L22-951
東京方先頭車。L22形は900番台も950番台も窓数が6枚と同じですが、目視で確認する限りではシートピッチはL25-951のそれに近いように見えます(全く同じかどうかはわかりません)。
北側側面のみ、ノーズ側にも窓が1枚設けられています。客室から大きく離れているため、おそらく旅客用(座席用)の窓ではないと思われます。
L25-951と同様にルーバー部塗装の省略・小さなドアのような蓋が確認できます。
また、L22-951・L25-951間の連結部のみ、全周ホロのタイプが違うという差異もありました。
細部
L21-902の側面ロゴ
L21-902のノーズ付近
L21-902・L26-901の連結部(台車付近)
L26形(車いす対応車)のドア
L22-951のロゴとドア
L22-951のノーズと前面窓付近拡大
L26-901・L25-906間の連結部(台車付近)
L25-906・L25-951間の連結部(台車付近)
900番台・950番台の差異がよくわかる
L25-951・L22-951間の連結部(台車付近)
全周ホロのタイプが異なる
内装 (950番台/改良型試験車)
続いて内装のお話です。
車内(名古屋方)の様子。客室・デッキ仕切り部に防犯カメラと非常通報装置が設けられています。
また、ステッカーの案内によると、デッキ側に消火器とゴミ箱がある様子です。
車内(東京方)の様子。ドアに「4」のステッカーが貼られていますが、7両編成時代(報道公開時)は「6」だったことが確認できており、後から貼り換えているようです。
手ブレしていますがデッキの写真です。写真右下にある非常用ドアコックの蓋が半開きになっていることが分かります。
元々5~12両編成の車両に対してタラップが2か所しかありませんので、実験線ではドアコックを緩めてドアを開ける取り扱いになっているのでしょうか。
こちらもデッキの写真です。大型荷物置き場が設置されています。
座席
座席です。改良型の新しいタイプです。
座席周りの空間はこんな感じ。
真ん中のひじ掛けは "奪い合い" が起きない形になっているそうです。
ドリンクホルダーと足元の荷物置き場。足元にこのような荷物置き場がある点は飛行機を彷彿とさせます。
テーブルはひじ掛けに収納するタイプで、なんと裸の状態で収納されています(流石に営業時にはカバーが付くものと信じます)。
黒い小型テーブル。軽い飲食はできると思いますが、ノートPCを載せるには少し小さいかもしれません。
窓は二重になっており、ロールカーテンが省略されています(旧型試験車にはありましたが、殆どがトンネルのため必要ないのでしょう)。
網棚。軽量化のためかパイプ式に変わりました。サイズは小さめで、スーツケースの場合小型のものでも入らなさそうです。
足元(壁側)には通気口のようなものが並んでいます。
中央のひじ掛けにはUSB充電器が。
カーペットは落ち着いた色合いです。座席下の荷物置き場はカーペット無しとされています。
軌道・地上設備
今度は地上設備のお話と画像です。
タラップ(乗降設備)
タラップ内部の様子。現行のタラップでは、列車が停止してからタラップを接続しドアが開くまでに約10秒ほどかかるとか。
車体との隙間は僅かで、かなり密着する構造になっているようです。
はじめしゃちょーさんの動画(6:30付近)にタラップが動作する様子が写り込んでいます。こちらもぜひご覧ください。
youtu.be
軌道
乗降施設内から間近で見るコイル周りの設備。
1枚1枚のタイルにバーコードが貼られています。管理用のものでしょうか?
「MITSUBISHI」の文字が確認できますので、三菱製のようです。
奥の方では異なるタイプのコイルが採用されています。
複数あるコイルの設置方法については、リニア見学センターの公式サイトにて解説されています。
リニアの仕組み|山梨県立リニア見学センター
- ビーム方式
- パネル方式
- 直付け方式
- 逆T型方式
の4種類があるそうです。
作業用車・スペース
どきどきリニア館前には、部分的に側壁がない箇所が設けられていました。
その近くには作業用車が停められていましたため、この箇所から作業用車を出し入れするものと思われます。(営業開始後はここも本線になりますが、どうするのでしょうか?)
高架橋・防音防災フード
笛吹市竹居付近の高架橋です。こちらは防音防災フードがない区間です。
橋脚。写真右側に向かって上る勾配になっていることがわかります。
高架橋の底面。暗くて分かりにくいですが、排水用と思しき小さな突起が複数出ています。
こちらは笛吹市にある「花鳥山展望台」付近の防音防災フード。
入口付近の天井には小さな穴が開いています。
花鳥山展望台から見た高架橋。
まだ南側の軌道しか敷かれていません。
アンテナのような設備
どきどきリニア館の展望室から見えた中に、少し気になる物がありました。
白くて丸いスピーカーに似た形の装置が上下に2つ並び、それが東京方・名古屋方両方に向けて設置されています。
同じものが竹居付近・花鳥山展望台付近でも見られました。
リニアは地上に置かれた基地局を用いて電波で在線位置検知をするそうですので、そのための設備でしょうか?
以上で記事を締めたいと思います。長めの記事になりましたが、最後までご覧いただきありがとうございました。
編集履歴
2024-04-18 | 加速度グラフを差し替え。A編成の両数に関する記述を追加。 |
2024-05-26 | コイルパネルのメーカー(三菱)に関する記述を追加。 |
*1:他にL21・22形が1両ずつ、L26形が2両で合計16両編成を組成するとした場合