東海道・山陽三十五次

鉄道写真を撮ったりイラスト描いたりするブログです。

阿佐海岸鉄道 甲浦駅のDMV工事(2019/11時点)

阿佐海岸鉄道では、2020年度末のDMV*1の営業運行開始を目指し、各所でDMV導入に向けた工事が行われています。

そのうち、甲浦駅で行われていたスロープ新設関連の工事について、2019年11月時点の様子を写真メインでまとめたいと思います。
※2019年11月時点の情報です。最新・2020年10月の工事現場の状況とは異なります

訪問日 2019年11月9日 土曜日

工事概要(甲浦駅)

工事現場の全景
甲浦は阿佐海岸鉄道阿佐東線の終点で、高架駅です。
DMVはこの駅からバスとしての走行に切り替わり、地上道路へ移ります。

つまり、鉄道の高架駅から地上まで、バスを下す必要があります。
そのための巨大なスロープを建設している点が、甲浦駅の工事における目玉です。

甲浦駅付近の見取り図・工事現場概要図
こちらは駅周辺の見取り図です。(DMVのルートや橋脚・仮待合室などの位置はおおよそのものです)
DMVは赤い点線のルートに沿ってぐるりと回転しながら、坂を下って地上に降りる予定です。

駅舎・駐車場移転についての掲示
駅舎は工事に伴い閉鎖中(一部撤去)で、工事現場の南側に仮のバス待合室・観光案内所が設けられています。

訪問日には、そのうち高架線の延長部と、2本の橋脚の建設が進んでいました。

甲浦駅計画図については、第5回「阿佐東線DMV導入協議会」ページの(資料3)第5回阿佐東線DMV導入協議会(PP資料)をご覧ください。


高架線終端部

駅付近見取り図(高架線終端部の位置)

北側に停車している車両(ASA-300形)
訪問直前の10月11日から、工事に伴う列車停止位置変更が行われていました。
南側で工事を行うため、列車はホーム北側(海部方)の端っこに停まっています。

ASA-300形と車止め
線路上には土嚢?を積んだ仮の車止めが設置されています。
その奥の、緑色のシートに囲われた箇所が工事現場。

高架線終端部の工事現場
高架線(現)終端部の工事現場。おそらくここがモード・インター・チェンジ部*2になるものと思われます。
過去の写真を見た限りでは、ちょうど以前の車止めがあった位置と思われます。

コンクリートで舗装された工事現場
レールは囲いをまたいですぐの所で分断されており、その先はバラスト(砂利)も無く、真新しいコンクリートで舗装されています。

地上・沿道側にせり出している工事用仮囲い
工事用仮囲いは沿道の一部にせり出しています。
(駅付近の沿道の一部は通行止めとされています)

北側の壁が養生されている駅舎
駅舎は北側の壁が取り払われ、ブルーシートで養生されています。
駅舎の一部は再利用する方針のようで、解体されていない箇所はきれいな状態で保存されていました。

スロープ部

橋脚(北)

駅付近の見取り図(1本目の橋脚の位置)

北側にある橋脚
駅舎の北側には橋脚1本が新設されました。
駅舎の壁を一部解体したのは、この橋脚設置に支障するためかと思われます。

橋脚の上面
橋脚上のくぼみ(正方形の方)が若干斜めになっています。
計画図にもある通り、この場所で既存の歩道橋にあわせて若干カーブするためかと思われます。

橋脚(南)

駅付近見取り図(2本目の橋脚の位置)

橋脚と工事現場を歩道橋上から俯瞰
駅舎の南側にも橋脚が新設されています。
先ほどの橋脚よりも大型で、カーブしながら下り勾配にさしかかる路面部分も作られています。

半分削られた歩道
この橋脚の設置工事に伴い、駅歩道橋・地上歩道が半分削られています。
橋脚そのものは歩道に干渉しない位置に作られているため、スロープ側の工事が終わり次第、歩道は元に戻されるのではないでしょうか。

通路が設けられている大型の橋脚
計画図を見た限りでは、この橋脚の下を潜るような形で、沿道から駅に入るための通路が設けられるようです。

盛土区間

カーブした形で配置されているブロック材
上記の橋脚の延長線上には、ブロック材がカーブするような形で配置されています。
ここから先は盛土に変わるようで、これらのブロックは、高架橋と盛土区間とを繋ぐ部分の側壁になるものと思われます。

造成準備が進む盛土区間
盛土区間の造成準備も始まっている様子。しかし、あまり奥へは入れないため詳しい様子がうかがえず…

駅舎・地上

駅舎・駅前

駅周辺見取り図(駅舎・駅前道路の位置)

駅舎の東側
駅舎は前述の北側の壁のほか、正面入り口側の一部の屋根も外されています。
それ以外は基本原型のままを維持している様子。

半分削られた歩道橋
前述したように歩道橋は一部の箇所が削られ、通路幅が半分ほどになっています。

通行止めの柵が並ぶ道路
駅前道路は、横断歩道より北側の範囲が全面通行止めとされています。

資材や道具が積まれた路上
通行止め範囲の路上には、作業用の資材や道具が積まれています。

橋脚と駅の全景
橋脚と駅の全景。

駅舎正面と橋脚
駅舎正面側から見た橋脚と駅舎の様子。(仮設観光案内所前から撮影)

駅舎正面
駅舎入口には、駐車場・バス停位置変更を知らせる張り紙が残っています。
時計は止まっているようです(撮影時刻 16:18)

仮駅舎

駅周辺見取り図(仮駅舎の位置)

仮駅舎
こちらが甲浦仮駅舎・兼バス待合所。
1つ奥にある扉が観光案内所の入口です。阿佐東線のきっぷは観光案内所で発売。(この時は営業時間外)

仮駅舎の駐輪場とトイレ
トイレ・駐輪場も併設されています。

バス待合室内部
待合室内部にはベンチや掲示板などがあり、チラシ類の配布も行われています。
DMV運行に関する中国語のチラシが用意されていたのが印象的でした。海外からの観光客へもアピールを狙うようです。

待合室内の公衆電話・スタンプ台
仮駅舎ながら、公衆電話やスタンプ台も用意されています。

「待合所ご利用時のお願い」の張り紙
バスの時間が近付いたら予め外で待つよう張り紙がしてあります。
工事の関係でバスから待合室の中を見ることができず、待合室内にいる人もバス到着に気付けない…という事情のようです。

編集履歴

2020-10-11 14:01 甲浦駅計画図が掲載されているページへのリンクを追加。また、タイトルを修正。

*1:デュアル・モード・ビークル、線路・道路の両方を走れる新しいタイプのバス型車両

*2:鉄輪・車輪を切り替えるための地上設備